Point

有限会社 仁企画  猿山 康継(サヤマ ヤスツグ)

○時価主義の賃金制度の第5回目 「退職金」

「退職金」についてお話します。


退職金制度は、多くの企業が、「退職時の基本給×勤続年数に対応する乗数×退職事由別の係数」に似たような制度となっています。


「時価主義の賃金制度」では、基本給はフレキシブルに、「できるものには、できる給与を」、 人事考課結果が低くて現在の基本給が高めならば、「指標額」に基づき合理的に減額をします。

退職金が基本給比例では、「フレキシブルさ」が退職金にも反映して、社員はおちおちしていられません。 退職金のそもそもの目的を考えて、全く別の計算で行う方式にしましょう。


退職金制度は、そんなに簡単に日本の会社からなくなりません。 退職金の目的を考えたら、やはり「長年の勤務に対しての感謝・ご苦労様」ではないでしょうか。 「ご苦労様」の気持ちを、花束だけでは寂しいものがあります。 一方で、老後の資金の足しにするほどの退職金を準備するのは会社にとって大変な重荷です。 「ご苦労様」を金銭で表わすとしたら、どのくらいになりましょうか? この辺がポイントだと思います。


退職金制度は「ポイント方式」にしましょう。

移行(制度設計)は、従来の退職金制度の実際の数字から始めます。 まず移行時の全社員の退職金を計算します。 これを下回るような制度改定は問題です。 したがって、移行時の退職金をもとにベースとなる勤続対応の退職金テーブルを作ります これを「勤続分」としましょう。

次に、現行方式での各人の定年時の退職金の予測を計算します。 現行の給与システムのままで、年間2%程度の昇給だったとしたら、という設定で計算します。 かなり大きな数字になりビックリすることが多いものです。

定年時の退職金予測の実態をみながら、役職別の定年退職金の想定を考えます。 逆算して役職別の1年あたりの加算金額を作ります。 係長に1年いたら幾ら積み増しするか。 これを「役職分」とします。各階層を何年程度で進んで行くかを試算して、役職間のバランスをみます。

これで「役職加算分」のできあがりです。その他別の要素を作ってもOKです。 ポイント方式の退職金は、「勤続分」「役職加算分」を千円で割って、単位を千円としたものをポイントと称します。


以上

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